京都府立大江高等学校の学力向上フロンティア計画「OE-Study」のオフィシャルサイト。

◆ 歴史のひとこま ◆ ~6月21日~

 インド神話に次のような話があります。
 この世界の人間第1号はヤマという男でした。ヤマにはヤミーという名の双生児の妹がいました。つまりこの2人は、旧約聖書のアダムとイブに相当するわけです。ヤマとヤミーは結婚し幸せに暮らしていましたが、やがてヤマが死にます。妹であり妻であるヤミーはひどく悲しみました。神々はヤミーに、早くマヤを忘れるように諫めましたが、ヤミーはいつもこう言いました。「ヤマはきょう死んだ」

 というのは、その時はまだ夜がなかったからです。ヤマを忘れることができないヤミーをかわいそうに思った神々は、ヤミーのために夜を創ってやりました。夜ができたので翌日ができました。翌日ができるとヤマの死は昨日になり、ヤミーは「きのう、ヤマが死んだ」と言うようになりました。そして、その昨日が一昨日になり、一週間前になり、一月まえになるにつれて、ヤミーはヤマを忘れることができました。私たちの悲しみを、時間が癒してくれることを教えた説話です。

 後日談。死者第1号となったヤマは天界にたどり着き、そこに緑の楽園を発見。領土宣言をして死者の国、楽園の王となりました。しかし、しばらくするとその楽園にまで悪人がやって来て、満員になりました。そこでヤマは、地下に牢獄をつくってそちらに悪人を収容しました。その地下の牢獄が「地獄」です。そしていつのまにか、マヤは地獄の王にされてしまいました。ちなみに「ヤマ」に漢字をあてると「閻魔」になります。

 6月21日は夏至、一年中で昼が最も長くなる日です。この日を境にして、毎日毎日、少しずつ夜が長くなっていきます。夜というと「暗い、冷たい、怖い」というマイナスイメージを持つ人が多いかもしれませんが、夜があるおかげで日が流れ、多くの悲しみを癒すことができます。また、植物の世界では、開花するために日の光でなく夜の闇を必要とする花も多くあります。華々しい成果をあげるには、その前につらく苦しい時期が必要だということです。
みなさんにも同様のことが言えます。自分にとって一見マイナスに見えるものでも、実はプラスの要素や力を持っていたり、後々自分の能力を高めてくれる力となるものがあります。そして、卒業後に大きな花を咲かせるには様々な試練に耐える苦しい期間が必要で、それが今なのです。まずは期末考査に向けて、しっかり勉強しましょう。


京都府立大江高等学校 
教  諭 山 田 義 治