京都府立大江高等学校の学力向上フロンティア計画「OE-Study」のオフィシャルサイト。

◆ 歴史のひとこま ◆ ~4月12日~

 4月12日は「世界宇宙飛行の日」です。1961年のこの日、ソ連(今のロシア)の有人宇宙船ウォストーク1号が打ち上げに成功。1時間48分かけて地球を1周して帰還し、世界初の有人宇宙飛行となりました。乗り込んでいたのは、27歳のユーリ・ガガーリン。彼が帰還後の記者会見で語った「地球は青かった」の言葉は有名です。

 人類が始めて空を飛んだのは、1903年。ライト兄弟によるこの初飛行は、わずか59秒、260mでした。その初飛行から60年も経たないうちに、人類は空だけでなく宇宙にまで行動範囲を広げました。そう考えれば、人類の進歩、科学技術の発展にはめざましいものがあります。この人類の華々しい進歩を象徴し、人類の叡智を讃えるのが「世界宇宙飛行の日」。こうとらえることができるでしょう。

 ところで、無人の人工衛星を初めて打ち上げたのもソ連でした。1957年10月4日、ソ連はスプートニク1号の打ち上げに成功し、アメリカは「スプートニク・ショック」といわれる衝撃を受けました。宇宙空間にまで人工衛星を打ち上げられるロケットを持つということは、大陸を越えてミサイルを打ち込めることを意味するからです。これに危機感を感じたアメリカは、ますます核兵器の開発に力を入れ、米ソの核開発競争が激化していきます。「宇宙へ行く」という人類の夢、その先に広がるであろう華々しい未来と可能性、科学技術の発展や人類の叡智を讃えるこの宇宙開発計画は、軍事計画と切り離せないものだったのです。そもそもライト兄弟の初飛行も、兵器としての利用価値があるとにらんだ軍部が、兄弟に資金的援助をしたことで実現可能となったものでした。

 ここで覚えておいてほしいのは「どんな出来事も、ある一面だけを見ていては真実を知ることができない」ということです。2年生ではみんな世界史を学習し、歴史上のさまざまな出来事を学びますが、どんな事象にも良い面、悪い面、良いとも悪いとも判断できない面がありますし、そのとらえ方は立場によっても違います。ギリシャの哲学者プロタゴラスは「どんな問題にも両面がある」と言っています。「一つの事実に対していろいろな見方ができる。客観的事実は一つでも、真実を一面的に語ることはできない。自分のとらえ方だけが正しいという思い込みは危険である。」このことを頭において、今後の学校生活を送ってください。世界史の授業ではもちろんのこと、他人とのコミュニケーションにおいて、また人間関係を構築する際にも、このことは当てはまるでしょう。みなさんがより深く学び、良好な人間関係を築くことができるよう期待しています。


京都府立大江高等学校 
教  諭 山 田 義 治