京都府立大江高等学校の学力向上フロンティア計画「OE-Study」のオフィシャルサイト。

言葉の類似

2010年9月27日から10月10日までの2週間、「日本教育者韓国学ワークショップ」に参加しました。これは、2002年日韓ワールドカップ共同開催を記念して、韓国際交流財団と日本国際交流基金が2000 年から始めた事業で、日韓両国の相互理解増進を目的としたものです。今回は、全国の中学校、高等学校から、私を含む23名の教員が参加しました。このワークショップを通して学んだこと、気付いたことを、これから何度かに分けて紹介します。

関西国際空港から韓国の金浦空港までは、1時間半のフライトです。ちなみに、丹後の家を出発してから関西国際空港までは、鉄道で約4時間かりました。都市部以外の国内移動にかる時間と比較することで、韓国の近さが実感としてよくわかると思います。

近い国であるため、古来より、朝鮮半島から多くの渡来人が日本にやってきました。当時の朝鮮半島は日本から見れば文化的先進国。先進技術を持った彼らは、日本に多くの文物を伝えました。その結果、日韓の間には多くのつながり、類似点や共通点があります。その最も身近な例は、言葉でしょう。

平城京があった場所は現在の「奈良」ですが、この「奈良」という地名は、「クニ」を意味する韓国語「ナラ」がルーツとされています。「村」という言葉も、新羅時代の韓国語「ムラ」に由来します。

また、日本語で「端(ハナ)から」「初っ端(パナ)」「寝入り端(バナ)」「出端(バナ)をくじく」と言いますが、この「ハナ」「パナ」「バナ」は、「1つ」を意味する韓国語「ハナ」が語源です。韓国では「1つ、2つ、3つ、4つ」を「ハナ、トゥル、セッ、ネ」と数えますが、この「セッ、ネ」が日本語の「せ~の」になったとする説もあります。この他にも、「釜」や「窯」は「カマ」、「どんぶり」は「タンバル」、「鍋」は「ナムビ」、「木綿」は「モンミョン」に由来します。お祭りで御輿を担ぐ時のかけ声「わっしょい」も「来た」を意味する韓国語「ワッソ」が語源とする説があります。おそらく、「神様が乗った輿が来たぞ」という意味で使ったのでしょう。

こうしてみると、日常の言葉に溶け込んでいる韓国語の多さに気付くでしょう。それら韓国語由来の言葉は、朝鮮半島からの渡来人が当時の先進技術や文化を日本に伝えたという、歴史的事実を思い起こさせてくれます。また水車やサツマイモのように、逆に日本から韓国に渡った技術、文化もありました。純粋な「日本人」や「日本文化」という表現が、いかにおかしいものであるかがわかるでしょう。

近いが故に、文化的には兄弟のような関係で発展してきた日本と韓国。歴史的にみると、友好的、建設的な関係とは言えない時代もありましたし、それが尾を引いている部分が現在でもあるでしょう。それを乗り越え、新しい日韓関係を築いていくために、両国の類似点や共通点に注目し、本来の日韓関係に気付く。今後のよりよい日韓関係を築いていくヒントが、こにあるのではないかと思います。

参考文献 コリアンワークス『知れば知るほど理解が深まる「日本人と韓国人」なるほど事典』2002年

京都府立大江高等学校
教 諭 山田義治